「西原のかなしゃがま」標準語訳

記事をご覧いただいている皆様、三線を楽しんでおられるでしょうか?

現在「日本語」といえば、皆様ご存じ北海道から沖縄まで全国で通じる「標準語」と地域に根差した多種多様の「方言」の二種類がございます。

今日ご紹介する「西原のかなしゃがま」は男性から女性への情熱的なラブソング。標準語のなかった時代の沖縄県宮古島(現在の宮古島市平良西原)が舞台の唄ですので当然方言、しかもウチナーグチと言われる沖縄本島ではなく、ミャークフツと言われる宮古諸島で話されている言葉ですので、唄だけでなく言語に興味のある方もご覧いただければ嬉しいです。

また、歌詞に使われている表現は方言の古語だったり、複数の意味を持つ単語だったりするので、色々な解釈ができます。その解釈のひとつ、という感じでご覧ください。

 

↓ ↓ それでは以下、歌詞の意訳です ↓ ↓
※()内は標準語訳

「西原のかなしゃがま」

(「西原の愛しい人」)

ーーーーーーーー1番ーーーーーーーー
どぅゆたが 今日ぬ 寄らまいやよ
(今日の恋人たちの出会いは)
あぐたが 今日ぬ 揃まいやよ
(今日の親しい集いは)
かなしゃがまよ
(愛しい人よ)
神からぬよ 上からどぅよ
(神様から 運命から)
許すだらよ
(祝福されているに違いない)
かなしゃがまよ かなしゃがまよ

(愛しい人よ 愛しい人よ)

ーーーーーーーー2番ーーーーーーーー
北んなつき とぅみりばまいゆ
(北の方へ 探しに行けども)
南んなつき 探しばまいゆ
(南の方へ 探し回っても)
かなしゃがまよ
(愛しい人よ)
貴方んくいぬゆ かなしゃんくいぬゆ
(あなた程の 愛しいと思う程の)
人てぃやみんど
(そんな人が他にいる訳がない)
かなしゃがまよ かなしゃがまよ

(愛しい人よ 愛しい人よ)

ーーーーーーーー3番ーーーーーーーー
千人がよ中からどぅよ
(千人の中から)
万人がよ中からどぅよ
(万人の中から)
かなしゃがまよ
(愛しいひとよ)
選びうつ すすりうつ
(選んだ人 見つけ出した人)
姉がま かなしゃや
(貴女だけが ただ愛しい)
かなしゃがまよ かなしゃがまよ

(愛しい人よ 愛しい人よ)

ーーーーーーーー4番ーーーーーーーー
宮古とぅなぎ やらばまいゆ
(宮古中を見回したとしても)
国とぅなぎ やらばまいゆ
(国中を見渡したとしても)
かなしゃがまよ
(愛しい人よ)
肝んかわいてぃ 胸んかわいてぃ
(私が心変わりするなど あなたへの気持ちが変わってしまうなど)
あらでぃんがよ
(ありえない)
かなしゃがまよ かなしゃがまよ

(愛しい人よ 愛しい人よ)

ーーーーーーーー5番ーーーーーーーー
貴方とぅばんとぅが夫婦ないやよ
(あなたと私とが夫婦になるのは)
かなしゃとぅばんとぅが夫婦ないやよ
(愛しい君と私とが結ばれるのは)
かなしゃがまよ
(愛しい人よ)
神からぬよ 上からどぅよ
(神様から 運命から)
許さまいゆ
(祝福されているに違いない)
かなしゃがまよ かなしゃがまよ

(愛しい人よ 愛しい人よ)

ーーーーーーーー6番ーーーーーーーー
貴方とぅばんとぅが抱きからやよ
(あなたと私とが一緒になれば)
っふぁい持つ底地ぬ 豆が花だき
(肥沃な土地の 豆の花のように)
ゆーでぃきどぅすど
(美しい未来が)
ゆさらびぬ ういが莢だき
(夕暮れの 豆のさやのように)
ゆーでぃきどぅすど
(良い将来が待っているだろう)
かなしゃがまよ かなしゃがまよ

(愛しい人よ 愛しい人よ)

ーーーーーーーー7番ーーーーーーーー
干瀬んな ぶりうぃ 波がまじゃんど
(サンゴ礁に寄せては返す波は)
浜や打ちゃだな 砂っさ打ちゃだな
(浜へ届くまで 砂を打つまで)
なまいむぬぬが
(止まることはないのだろう)
我にしゃいまい
(駆け出しの私だけれど)
うやき あすでぃゆ なまらでぃがよ
(大成するまで歩みは止めない)
かなしゃがまよ かなしゃがまよ

(愛しい人よ 愛しい人よ)

ーーーーーーーー8番ーーーーーーーー
島ぬ高さや大神ぬ島ど
(一番高い島は大神島)
島ぬ低さや池間ぬ島ど
(一番低い島は池間島)
かなしゃがまよ
(愛しい人よ)
暮らす安すぬ はだす安すぬ
(暮らしやすいのは 心地良いのは)
西村島がま
(この西原)
かなしゃがまよ かなしゃがまよ

(愛しい人よ 愛しい人よ)

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なかなか情熱的な唄でしたね。それぞれの詳しい解説はまた後日、ブログでご紹介しますので、お楽しみに。